CBR1000RR-R Fireblade [TSR-EWC] 解体新書【Final】
2020ル・マンの勝利は必然

2021.06.03レース

2020イメージ これまで見てきたTSRの戦略的ポジショニングは、2021シーズン、フレディ・フォレイに代わって高橋裕紀を起用したチームの戦術的なマネジメントによって倍増されることだろう。高橋は、オフシーズン中に日本国内で十分なテストを行うことができたが、チームメイトのジョシュ・フックとマイク・ディ・メリオは、特に寒くて移動が困難なこの時期にはテストを行うことができなかった。

つまり、昨年すでに完成していたバイクを2021モデルとして進化させていくために、すべてが整えられていたのだ。3月に行なわれた2回のル・マンプライベートテスト、公式テストを経て、その2021モデルを駆り2021年ル・マン24時間レースをどのように戦い、どのような活躍を見せてくれるのかを待つ間、2020モデルの深層を知り、賞賛するための時間にしよう。
○出典元:Moto Journal誌(フランス)


16 フェアリング脱着

フェアリング脱着

フェアリングサイドは、左右の識別のためアルマイト(赤・青)処理されたブラケットにピンで固定されている。ピンを引くことで、ほぼすべてのケーシングを一度に取り外すことができる。
ブレーキラインと同様にストーブリ製クイックコネクターにより、燃料システムに空気が混入することなく、タンクを素早く取り外すことができる。

17 LEDアクティブヘッドライト

LEDフロントライト フロントライト シートカウル内のリアライト

TSR製のアクティブヘッドライト。コースにおける車両の現在位置、バンク角、ライダーの入力などの情報から光軸を最適化し、ブレーキング・コーナリング中もライダーの視界を確実にサポートする。ル・マンでのベストタイムが夜間走行時(深夜2時26分!)であったこと、24時間レースのほぼ半分が夜間走行であることを考えれば、その重要性が理解できるだろう。2個のLEDでシンプルかつ軽量なテールライト。TSR製ブラケットの仕上がりもGood!


【LEDアクティブヘッドライト調整】


18 チタンフルエキゾースト

2020年モデルのアクラポビッチ

2020モデルのアクラポビッチ製チタンフルエキゾーストシステムは、おそらくこのバイクに装着されている唯一の日本製ではないパーツ。

19 フロントホイールクイック機構

左サイド(赤) 右サイド(青)

フェアリング同様に塗り分けられた小さな(赤=左、青=右)プレートが、脱着の際にホイールを必要な位置に正確に誘導する。完全なピットワーク(2つのホイールの交換と燃料の補給)にかかる時間はわずか20秒ほど。実際にはタイヤ交換に10〜13秒、+フューエルチャージ(ル・マンでは8秒程度)。


【前後タイヤ交換・給油にまつわるピットワーク動画】


【欄外コラム】

このバイクは約220psの最高出力で、燃料満載時の重量は190kg。
この状態でもノーマルCBRより10kg軽く、7.7リットルの燃料を多く入れられる。

2020年ル・マン車検時

※車両最低重量について:昨年までは、「全て のレースにおいて 175Kg」とされていた車両最低重量。2021レギュレーションでは、「すべてのレースにおいて、絶対最低重量(燃料タンク及びその内容物を除く)で168kg」であり、さらにクォリファイプラクティス中の最低重量は175Kgを維持しなければならない」とされている。セッション中にも重量計測が行なわれ、このコントロールに従わない場合は、ペナルティも科せられる。


※この記事は、MotoJournal誌とHonda Franceが取材制作し、2021年4月にフランスで発行されたMotoJournal誌に掲載のF.C.C. TSR Honda France〜2020ル・マン優勝車とTSRの紹介記事をベースに、新たにTSRにて一部加筆・修正、および写真の入れ替えと動画を追加しより精度を高めた内容にしたものです。


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